身体は疲れているのに、眠れない夜
奈良の鍼灸師*まぁ*です。
一日が終わって、身体は疲れているはずなのに、布団へ入るとなぜか目が冴えてくる。
明日の予定を考えたり、今日あったことを思い返したり。
「早く眠らないと、明日がつらい」
そう思うほど、ますます眠れなくなる。
そんな夜はありませんか?
眠ろうと頑張っているのに眠れないと、自分の休み方が下手なように感じてしまうかもしれません。
でも、寝つけないのは、気持ちの持ちようだけではありません。
身体がまだ一日を終えられず、休息モードへ切り替わっていないこともあるのです。
西洋医学からみる寝つきの悪さ
私たちの眠りには、主に二つの働きが関わっています。
一つは、起きている時間が長くなるほど眠気がたまっていく働き。
もう一つは、朝の光や生活リズムによって調整される体内時計です。
夜になると、身体の内部の温度が少しずつ下がり、眠りに入りやすい状態へ変化していきます。
ところが、寝る直前まで明るい画面を見ていたり、考えごとや緊張が続いたりすると、脳や身体が活動状態のままになってしまいます。
夕方以降のカフェイン、お酒、不規則な生活、寝室の光や温度などが影響することもあります。
女性の場合は、月経前や更年期など、ホルモンが大きく変化する時期に寝つきが揺らぐこともあります。
身体は休みたいのに、頭の中では昼の会議がまだ終わっていない。
寝床で一人、延長戦が始まっているような状態です。
また、
「今夜も眠れなかったらどうしよう」
という心配そのものが新たな緊張となり、さらに目が冴えてしまうこともあります。
眠ろうと頑張るほど眠りが遠ざかるのは、決して意志が弱いからではないのです。
東洋医学からみる寝つきの悪さ
東洋医学では、眠りは昼から夜への自然な切り替わりによって訪れると考えます。
昼間は活動のために気が外へ向かい、夜になると内側へ戻って身体を休ませます。
ところが、心配ごとや緊張が続いて気の巡りが滞ると、夜になっても身体がうまくゆるまず、眠りへ入りにくくなることがあります。
また、東洋医学では「心は神を蔵す」といい、「心」は精神活動や眠りとも深く関係すると考えます。
考えすぎや頑張りすぎで、身体や心を養う「血」が消耗すると、
・布団に入ってから考えが止まらない
・小さな音や光が気になる
・眠りたいのに気持ちが落ち着かない
といった状態が現れることがあります。
同じ「寝つきが悪い」というお悩みでも、身体に熱がこもっている方、冷えている方、気が張りつめている方、身体を養う力が不足している方では、整え方も異なります。
経絡治療では
経絡治療では、「眠れないから、このツボ」と一つの方法に決めるのではありません。
寝つき方だけでなく、
・どんな考えごとが浮かびやすいか
・冷えやほてりがあるか
・月経や更年期との関係はどうか
・食欲やお通じに変化はないか
・日中に緊張が抜ける時間があるか
などを丁寧に伺います。
さらに、脈やお腹、皮膚の状態をみながら、どの経絡に不足や偏りがあるのかを考え、その方に合った施術を組み立てていきます。
経絡治療が目指すのは、眠りを無理に引っぱってくることではありません。
一日中働いていた身体のスイッチをゆるめ、本来備わっている「眠りへ向かう力」が働きやすい状態へ整えることを大切にしています。
今夜からできるセルフケア
眠くなってから布団へ入る
「明日に備えて早く寝よう」と、いつもより早く布団へ入っても、身体に眠る準備ができていなければ、かえって寝床で考えごとをする時間が長くなります。
時刻だけにこだわらず、自然な眠気を待つことも大切です。
朝の光を浴びる
夜の寝つきを整える準備は、朝から始まっています。
朝起きたらカーテンを開けて、自然の光を取り入れてみましょう。
寝る前の画面を少し暗くする
スマートフォンを完全にやめるのは、なかなか難しいですよね。
まずは画面を暗くする、暖色系の表示にする、寝床へ持ち込まないなど、できることを一つ選んでみてください。
お風呂は眠る少し前に
ぬるめのお湯にゆっくりつかり、身体のほてりが落ち着いてから寝床へ入ると、眠りへの切り替えを助けてくれます。
熱いお湯で気合いを入れすぎると、身体まで「まだ活動時間ですね」と勘違いすることがあるので、ほどほどに。
息を長く吐く
深く吸おうと頑張らず、まずはゆっくり吐いてみてください。
三回ほどで十分です。
深呼吸まで努力目標にすると、身体も「今夜も仕事ですか?」となってしまいますからね。
最後に
寝つけない夜があると、時計を見るたびに焦ってしまいます。
でも、眠りは頑張って成功させるものではありません。
眠れない自分を責めるより、
「今日はまだ、身体の緊張が残っているんやな」
と少しだけやさしく受け止めてみてください。
一晩うまく眠れなかったからといって、すべてが台無しになるわけではありません。
今夜は眠りを急かさず、身体が一日を終えるのを、少し待ってあげてくださいね。
なお、寝つきの悪さが長く続く場合や、日中の強い眠気、気分の落ち込み、生活への支障がある場合は、我慢せず医療機関へご相談ください。
奈良の鍼灸師*まぁ*でした。
